発達・発育のまとめ【心理・社会性】
おぼえたいポイント
心の育ちの流れ
乳児期 |
愛着の形成。 |
幼児期前期 |
行動範囲の拡大による自己主張期が始まる。 |
幼児期後期 |
身体的特徴や、所有物への興味が生じる |
小学校低学年 |
自己中心的。1対1感覚。 他律的。 能力・性格への興味が生じる。 |
小学校中学年 |
仲間意識。徒党を組む。 自発性が生まれ、自律的に動けるようになる。 身体・運動・性格への興味がより強くなる。 |
小学校高学年 |
性差・思春期準備。羞恥心。内省・抽象思考の発達。 |
中学校 |
第二次反抗期。自己顕示欲が強くなり、他者の評価を気にする。 |
行動・他者との関わり・社会性
乳幼児の反応
新生児模倣 |
生後間もない新生児が、他者の表情をまねる現象。2か月ほどで消失。 舌出し模倣を、メルツォフとムーアが発見した。 |
エントレインメント |
新生児の同期行動。養育者の言葉や動きに同調して、新生児が体を動かすこと。 コンドンとサンダーらが研究した。 |
情動伝染 |
乳児の感情が他の乳児に伝染すること。成人にも起こり得る(もらい泣き)。 |
共同注意 |
自分と他人が、同じ対象に注意を向けていることを、お互いに共有している状態のこと。 乳児のコミュニケーションとして重要。 |
即時模倣 |
見たものをすぐまねる。共鳴動作ともいう。 |
ハンドリガード |
手をしゃぶったり見つめたりする、関係性を認識するための乳児の行動。 フットリガードもある。 |
アイコンタクト |
乳児が見つめ、大人が見つめ返す(目と目を合わせる)やりとり。 |
循環反応 |
吸う・叩く・引っ張る等の感覚運動的活動の反復。 |
第1次循環反応:自分の体が対象となる。(指吸) |
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第2次循環反応:自分の体と物との直接的関係を確かめる。(紐をひっぱる) |
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第3次循環反応:自分の体と物との間接的関係を自ら試す。(ボールを転がす・試行錯誤) |
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リーチング |
4、5ヶ月~。関心ある対象に手を伸ばす乳児の行動。 |
指さし |
9か月から、自分がほしいものを指す。 |
ターンテイキング |
自分からの働きかけと、相手からの待ち受けを交互にこなす(ボールのやりとりなど) |
三項関係 |
9ヶ月頃から、対象と人に対して相互に注意を向ける。 |
延滞模倣 |
1.5歳~。見たものを記憶し、後でまねる(母親の普段していることを真似るなど) |
表象機能 |
表象能力ともいう。 目の前に存在しないものを、頭の中に感覚的・知覚的に再現すること。ごっこ遊び。 |
乳幼児の心(自己の理解に関するもの)
愛着・愛着行動 |
アタッチメントとも。応答的に関わる特定の人との間で形成される。 ボウルビィにより研究された。 |
愛着行動①定位行動:愛着対象を見る(眼でじっと見る、顔を向ける) |
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愛着行動②信号行動:愛着対象を呼ぶ(泣く、声をかける) |
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愛着行動③接近行動:愛着対象へ向かう(後追いする、しがみつく) |
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基本的信頼感 |
他者から愛され大切にされている感覚のこと。 受け止められる経験の積み重ねで形成されていく。 |
安全基地 |
子供が活動や探索のよりどころになる存在。養育者など。 |
内的ワーキングモデル |
子供の心の中に形成された愛着対象。 目の前にいなくてもイメージすることで安心感を得る。 |
人見知り |
8か月不安ともいう。愛着が順調に形成されている証拠となる。 |
分離不安 |
養育者が自分から離れるとパニックを起こす現象。8ヶ月~2歳ぐらいまで続く。 |
社会性(他者の理解に関するもの)
生理的微笑 |
新生児~乳児が入眠時などの快状態のときにする微笑。 |
社会的微笑 |
3カ月ごろから。自分をあやしてくれる人に対してする微笑。 |
選択的微笑 |
5か月ごろから、親など、特定の人だけに対してする微笑。 |
社会的参照 |
1歳前後~。養育者の表情や声で、行動を決めること(笑っていれば安全など)。 |
共感性 |
1歳半~。相手の気持ちに寄り添うことができること。 |
心の理論 |
4歳~。他者と自分の心は別のものだということがわかるようになること。 |
自閉症児は獲得できない場合が多い。 |
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誤信念課題『サリーとアン』などで判定できる。 |
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役割取得 |
4歳~。相手の立場や気持ちなどを想像し、理解すること。セルマンの研究。 |
向社会的行動 |
5歳~。他者を思いやり、役に立つことを喜びながらする行動。 |
幼児期後半から。自己をモニターし、客観視すること。 内的動機づけが起こり、次展開のため自発的に行動できる。 |
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社会的比較 |
児童期から。自己概念を形成するために、他者と自分を比べる行為。 優れた者と比べる上方比較(やる気・劣等感)、劣った者と比べる下方比較(優越感・慢心)。 |
時間的展望 |
自分自身の現在について、過去や未来の事象を関連づけて、自分の今の立ち位置を理解すること。見通し。 |
集団に関するもの
自分がある集団に属し、その一員であることを自覚すること。 |
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ギャンググループ |
ギャングエイジとも。男子に特徴的な「徒党集団」。同じ遊びを一緒にする、 |
特定のルールがある、秘密の儀式があるなど、同じ行動を共にすることで生まれる一体感に支えられる仲間集団。 |
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チャムグループ |
女子に特徴的な「仲間集団」。秘密を共有するなどして、「私たち同じね」と互いの共通点を確認し合う。 |
「同じであること」を維持するため、誰かを仲間はずれにして結束を高めることもある。 |
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ピアグループ |
価値観などを話し合い、「同じであること」より「異なるところ」に気づき、それでも、その仲間集団が自分の居場所であることを感じられるのが特徴。 |
アイデンティティを形成していく場でもある。 |
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社会的コンピタンス |
社会に必要とされる能力(理解力・共感力・コミュニケーション力・場を読む力)のこと。 |
周囲の影響
発達期待 |
保育者・保護者が「将来的になってほしい姿」を期待すること。価値観の押し付けにならないように気を付ける。 |
性別により文化的に期待される役割。時代や地域により変遷する。 |
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環境移行 |
その人を取り巻く環境の変化。幅が大きいほど、不安や混乱など与える影響が大きい。 |